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別人制度レポート/「わからん」を積み重ねるまちづくりプロデューサーの一日。

別人制度レポート/「わからん」を積み重ねるまちづくりプロデューサーの一日。

ドットライフの島田です。

2018年8月から始まった「別人制度」。去る8月24日、さっそく体験に行ってきました!

今回わたしが向かったのはこの場所。

 

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池袋から東武東上線で1時間30分ほどの場所にある、「寄居町(埼玉県)」です。

 

初回となる別人制度で、寄居町でまちづくりに取り組む上田 嘉通さんの一日を体験してきました!

==上田さんについて==

株式会社小田屋代表取締役。埼玉県寄居町出身。2007年株式会社日建設計シビル入社。海外の都市計画、都市開発、リゾート開発のプランニングに従事。2010年ランドブレイン株式会社入社。地方活性化グループに所属し、農山漁村、過疎地域の振興に関する調査・研究・コンサルティング、東日本大震災の被災地復興事業のマネジメントに従事。2014年 株式会社JTB総合研究所入社。主任研究員として、離島地域をはじめとする条件不利地域の振興(観
光、農業、特産品開発など)、生活支援、まちづくりなどの案件に従事。2018年 全国のコンサルティングをしながら、地元に貢献できていないことに疑問を抱き、出身である埼玉県寄居町で起業。地元のまちづくりと条件不利地域の振興を実践中。株式会社JTB総合研究所客員研究員を兼務。

another life.でも、「しまっちんぐ」や「日本の国境に行こう!!プロジェクト」で一緒にお仕事をさせてもらってきました。

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上田さんは、ことし寄居町にUターン。再開発が決まっている駅前で、「まちタネ!」という交流スペースを運営しながら、まちの人が交流するためのイベントや、まちの再開発の企画にも関わっています。

まちタネ!

まちタネ!はコワーキングスペースになっており、快適に仕事ができます。

まちタネ!

月額1000円で棚のレンタルもしており、地元のクリエイターの作品が並びます。

まちタネ!

この一角は本屋さん。寄居町で本屋を開きたい方がいるそうですが、まずはどれほど需要があるかを確かめるため、まちタネ!を利用しています。

朝9:00に寄居駅に集合。上田さんは、「友だちに会いにくるような気軽な観光」の確立に向けても動いているので、まずは簡単にまちを案内してもらいました。

==寄居町について==

「寄居町」の名前の由来は諸説ありますが、呼んで時のごとく「人が寄り合う町」だと言われています。荒川の中流域に位置して、「鉢形城」の城下町として栄えたそうです。鉢形城は北条氏の時代に栄えましたが、戦国時代に滅びました。江戸時代に作られた『新編武蔵風土記稿』によると、「鉢形城落城の後、甲州の侍、小田原の浪士などより集まりて居住せし故の名なり」と記されているとのこと。

その一方で、中世の城郭の周囲に築かれた施設・集落などのことを「ネゴヤ(根古屋)」「ヨリイ(寄居)」等と呼んだとの研究成果もあり、当町に鉢形城・花園城をはじめとした多くの中世城郭が存在することを踏まえ、その起源は戦国時代までさかのぼるのではないかと考えられています。いずれにせよ、「寄居」は、「人が寄る町」「人が集う町」を象徴した歴史的な名前なのです。

人口は3万4千人程度。「まだまだ危機感がないのですが、人口減少は進んでいるので、いま何か打ち手を打たないといけない」と上田さんは話します。

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秩父山脈と関東平野の出入り口ということで、豊かな自然が残ります。

荒川では夏には川下りが行われたり、対岸の鉢形城で花火を上げる「水天宮祭り」などが開催されます。

寄居

様々な品種の桜があり、「一年中桜が見れるまち」としても有名。

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鉢形城は建物の跡は残っていませんが、戦国時代の「石積土塁」などが再現されています。土塁とは、敵や動物などの侵入を防ぐために築かれた土製の堤防状の壁です。この石積土塁は、石敷き詰めた上に土を敷き詰めて作られています。鉢形城は日本100名城にも選ばれています。

 

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駅から車で10分ほど走ったところにある「風布(ふうぷ)地区」は、市街地とはまた違った景色。風布川 とそこで取れる日本水(やまとみず)は昭和の名水百選にも選ばれています。

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また、寄居では豚肉を食べるのが盛んで「やきとり」といえば鶏肉ではなく、豚のカシラ肉を使います。お昼ご飯では名物「タレカツ丼」を頂きました。

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最後は、上田さんの実家の裏にある神社へ。ここは長崎県にある離島「壱岐島」にある神社の分社ということ。どうしてここに建っているのかは上田さんも知らないそうですが、上田さんは年に数回は壱岐島に足を運んでいるので、不思議なご縁を感じました。

 

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自分ひとりで来ていたら行けなかった場所やおすすめの場所を聞けるのが、地元の人に案内してもらう醍醐味。さらに、もともとの友だちに会いに行く感覚なので、リラックスしてまちを体感することができました。それと同時に、自分は「地元」のことをどれだけ知っているのか疑問もわきました。自分のルーツを知ることは、自分の軸を見つめ直すこと。いまいちど自分と向き合う必要もあると感じました。

 

午後は、「まちをおもしろくするためのママ会」に参加。まちで暮らすママに集まっていただき、2020年の駅前再開発に向けてどんなまちにしたいかや、11月に開催予定のマルシェに向けての話し合いが行われました。

 

10名ほどのママにお越しいただき、商工会の事務局長を交えて、1時間30分ほど楽しく時間が過ぎました。

 

・気軽に集まっておしゃべりする場がほしい

・子どもたち同士が自転車で行けるようなお店があったらいい

・何かを作ったり表現できる場が今はない

など、様々な意見が飛び交いました。

いろんな意見の方がいるので、どう合意形成をしていくか難しさもありますが、まちの主体者は暮らしている人たち。誰かが意見をまとめるというよりも、同時多発的にみんなが動き出すタイミングで、いろんなことが一気に進むような印象を受けました。

 

さらに、夜は月に一回開催されている「寄居わからんナイト第6夜」に参加しました。

==わからんナイトって?==
若者が何を考えているか、わからん。
ベテランが何をしてきたのか、わからん。
これからの寄居町をどうしたらいいのか、わからん。
寄居には、「わからん」ことだらけ。
そんな「わからん」ことを、
若者(わか)とベテラン(らん)が、
互いの考えや取組みを共有し、
ゆるーく、一緒に未来を語り合う場です。

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とても素敵なコンセプトですね。「わかもの×ベテラン」というのも、お互いわからないからこそ話すというのも、とても素敵。

実際、15名ほどの方が集まり、熱い夜が始まりました。

わからんナイトでは、ゲストの数名がプレゼンテーションします。今回は、地元の寄居が大好きなアイドルの方、寄居町で長年暮らす浮世絵収集家、「遊び」に関するWEBサイトを運営する方などが登壇。わたしもanother life.の説明とそれを同地域で活用できるかお話させていただきました!

さらに、寄居でやりたいプロジェクトの発表もあり。会があまりにも盛り上がりすぎたため、1時間延長するほど。

役所の方に駅まで送ってもらって、22:36の終電に滑り込み。2時間30分かけて帰路につきました。

 

一日一緒に色々回らせてもらい、とても貴重な体験でした。とにかく地元への愛着や想いを持っている方が多くて、濃い繋がりがあると感じました。

ただ、わたし自身は、まちづくり・地域づくりをするという感覚が自分ごとにはなりません。外からいろいろな地域の方とお話させていただきますが、自分の暮らす地域でも、出身の場所でも地域活動に全く関わっていません。それはなぜなのか。その疑問を持ちながら、自分のルーツや暮らす地域との関わり方はテーマとして持ち続けなければと感じた一日でした。