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別人制度レポート/遊郭専門書店員

別人制度レポート/遊郭専門書店員

another life.編集部の粟村(あわむら)です。突然始まった別人制度。何をしたらいいか散々悩みましたが、「自分が知らない、理解できないことをやっている人のところに行こう!」と決め、ネットサーフィン開始!いろいろなバイトや体験を探していく中で、「遊郭専門書店員による遊郭跡地ツアー」なるものに目にとまりました。

そういえば友達が遊郭の研究をしていたなあ、
でも個人では行かないだろうし知らない世界だなあ…。

…。

よし、とりあえずやってみよう!

ということで、ツアーを予約してみることに。ベンチャーってこういうマインドが強くなりますよね!以下、体験をはじめるまでの私の疑問です。

・どうして遊郭専門の書店をはじめたの?
・どうやって商売にしているの?
・遊郭の魅力とは?

1、遊郭跡地体験ツアー

ツアーを主宰していたのは、吉原遊郭の跡地で遊郭専門書店「カストリ書房」を運営する、店主の渡辺豪さんでした。まずはツアーへ!この日の参加者は私含め4人。女性2人、男性1人で、みなさん遊郭に興味があって参加されたそうです。

そもそもまず遊郭とは?

ざっくり言って、公に女遊びが許された区画のことをさします。第二次世界大戦後に法律で取り締まられるまで、全国各地に存在しました。業者に買われてきた女性が遊女となって働いていたのですね。

今回向かったのは「洲崎遊郭跡地」。東京帝国大学ができるというので、もともと根津にあった遊郭が、明治23年ごろからこの土地に移転してきたのだそうです。当時は286軒の業者と2329軒の娼妓がいたそうで、吉原に次いで東京で2番目の規模だったとか。

とはいえ、今訪れると、当時の面影は何も残っていません。渡辺さんが配ってくれた資料と古地図を手に、遊郭の痕跡をたどっていきます。

かつては湾と掘りに囲まれ、外界と行き来する手段は2本の橋だけだったそう。


(遊郭と街とをつないでいた橋)

業者がお客さんに店を紹介する「引手茶屋」があったという場所、格下の遊女が住んでいたという「蹴転横丁(けごろよこちょう)」があったという場所などぐるぐる案内してもらいました。

遊女が仕事の前に使っていたという銭湯や、当時からあった(と居酒屋さんが言っている)という建物も。


(遊郭があった時代から残っている建物らしい?)

2、遊郭専門書店「カストリ書房」

場所を変え、吉原にあるカストリ書房へ。カストリというのは戦後に流行った大衆向けの娯楽雑誌が「カストリ雑誌」と呼ばれたことからとっているそう。

店内は落ち着いた和風の雰囲気。約400タイトルの本がそろっているそうです。まだ復刻していない珍しい文献は、販売せず資料という形で閲覧できます。

渡辺さんは自分で地方を歩きまわって遊郭に関する資料や雑誌を集め、これぞと思うものを復刻して出版しているそうです。また、実店舗には人が集まるので、遊郭に興味のある人のコミュニティを作ったりイベントを開いたりとマネタイズの仕組みを増やし、遊郭について広めていきたいということでした。

セレクト書店も、ただ本を売っているだけでは食べていけない時代。出版機能を持つことで利益率をあげたり、イベントなどさまざまな事業と組み合わせることでビジネスとして成り立たせているのだなと勉強になりました。

3、そもそもなんで遊郭専門書店をはじめたの?

渡辺さんはもともとフリーでデザイナーをしていたそうで、旅行先でたまたま「ここに遊郭があったんだよ」と聞いて興味をもったそう。調べていくうちに、遊郭についての情報がまだ誰も知らない、世の中に発信されていない情報だということに価値を感じ、掘り下げようと思ったそうです。研究に熱が入り、それを仕事にしてしまった!

遊郭の魅力とは?と聞くと、興味深い答えが返ってきました。

“遊郭は、そこに来る男性、そこで生きなければならない女性、金をもうけたい業者、それぞれの強いモチベーションがあってできたもの。だから惹かれるのが当然なのではないか。”

込められた動機や思念が深いほど、人を引き付けるものになる。理屈ではないのかもしれませんが、私はすごく納得しました。

4、感想

今回の体験で、これだけ情報があふれている時代に「まだどこにもない情報」を見つけることのおもしろさや可能性を感じました。誰でもアクセスできる情報が増えている中で、一次情報を掴むことはそれだけで価値がある。それをどうビジネスにしていくかは、難しいけれどいろんな可能性があるのだなと改めて思いました。

あともう一つ、渡辺さんは「遊郭は自分とは違うし関係がないと思っていたけど、調べていろんな人に話を聞いていくうちに世界が続いて地続きになった感じがした」と言っていました。今回、私も自分からかけ離れたものに出会おうと思ったけれど、カストリ書房に来てみると「渡辺さんの話、めっちゃわかる~」となりました。遊郭に興味も湧きました!

絶対に自分と違うと思っていたものも、知ったら実際はそんなこともないし、同じ世界に存在している。そんな感覚が持てれば、もっといろんなことに興味が持てて、世界が広がるのではないかなと思いました!another life.でもそんな感覚をお伝えできればいいなと思っています。

超情緒的になってしまいましたが、私の第1回目はこんな感じです。来月も突撃だ!