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別人制度レポート/裁判傍聴体験

別人制度レポート/裁判傍聴体験

島田です。今月の別人制度で向かったのはこちら。

そう、東京地方裁判所です。

被告人の体験ではありません。もちろん、裁判官や弁護士、検察官でもありません。今回は、仕事ではなく「やってみたかった体験」にトライすることにして、裁判の傍聴に行ってきました。

東京地方裁判所は、霞が関にあります。東京高等裁判所や東京家庭裁判所と同じビルに入っています。

入り口には空港のようなセキュリティゲートがあり、庁舎内は写真撮影禁止。ものすごい厳格な雰囲気かと思いましたが、身分証の提示などは求められませんし、中に入れば自由に動き回れます。

「裁判所」に対するイメージとして、建物の中にいつくか法廷がある程度の規模を想定していましたが、ビルの中にはたくさんの法廷が入っていて驚きました。各階に「528号法廷」みたいな感じで多数の法廷が入っており、ビルに企業がたくさん入っているのと近い。

「傍聴は事前の申込みなどなく気軽にできる」とい聞いていたのですが、傍聴希望者が多い裁判については、事前に整理券が配布され、抽選になるとのこと。せっかくなので、抽選もしてみようと思い、10:00開廷の裁判に向けて、整理券が配られる時間の朝8:20に裁判所に行きました。

しかし、どこで整理券が配られているかわからない・・・

1階にある掲示板のようなところに、整理券が必要となる裁判の情報は書かれているのですが、どこで配れているかはわからず。WEBサイトを見る限りでは詳細の場所も特定できず。初心者にはなかなかハードルが高い。

早速心が折れそうになりましたが、整理券を受け取るのは諦め、何もなしで入れる裁判を探すことに。だれか整理券のもらい方教えてください。

東京地方裁判所では、1階のロビーにタブレット端末があり、その日に予定されいてる公判の一覧表(開廷表?)を見ることができます。わたしが行った日は、「東京地方裁判所刑事事件」「東京高等裁判所民事事件」など全部合わせて250ほどの公判が行われているようでした。

裁判の時間は、2時間ほどのものから10分程度のものまでありました。「新件」「審理」「判決」の3種類あり、「判決」のものは時間が短く、第一回目の公判である「新件」や二回目以降の「審理」のものは時間がかかるようです。

わたしの中での裁判のイメージは『逆転裁判』

検事と弁護士のやりとりが見たかったので、2時間予定されている「違法薬物」に関わる公判を傍聴することにしました。

開始時間に合わせて、公判が行われる法廷に向かいます。エレベーターに乗ると、おそらく「傍聴マニア」の初老男性から話しかけられました。「今日は裁判多いね。明日は少ないのに大変だ」と。これはフレンドリーのあらわれなのか、それとも「自分は傍聴に詳しいんだぜ」というマウントなのか・・・なかなか不思議な気持ちになりました。

傍聴人入り口のドアには「審理中」の札が下げられていました。また、扉の横には傍聴の注意が書かれていました。携帯電話の電源をオフにしたり、服装を整えたりするようにと。扉のところには小窓のようなものがあり、外からでもちらっと中を覗けます。

確認したところ、すでに公判は始まっており、傍聴人も何人かいるようなので、意を決して中に入ることに。

傍聴席は30程度あったと思います。入室すると、他の傍聴人や、被告を連れている二人の刑務官、検事や弁護士などがこっちをちらっと見てくるので、ちょっとドキッとします。傍聴人は被告の関係者なのかな?事件によっては傍聴するリスクもあると感じました。


wikipediaの写真です)

正面の高くなった箇所に裁判官が3名いて、その下に速記者と書記官がいました。(写真とは逆で)向かって左側に検察官がいて、右上側が弁護人。弁護人席の前に被告席があり、二人の刑務官に挟まれていました。証言台は真ん中にあり、裁判官を向いています。もうひとり、DVD再生や証拠品の投影などを行う事務スタッフのような人もいました。裁判官の手元には一つひとつモニターがあり、傍聴席からでも見えるように大きなモニターが設置され、証拠品を見やすいように工夫されていました。

裁判官と書記官は、「法服」と呼ばれる黒いローブのような服を着ています。なんで法服を着るのか調べてみると、制服であり「黒は何色にも染まらないように、裁判官はなにものにも左右されてはいけない」というスタンスのあらわれとのことです。ちなみに、検察官と弁護人はスーツでした。

すでに公判が始まっている途中だったので詳細の流れはわかりませんが、まずは「証拠品の提出」を行っているようでした。覚醒剤使用の裁判だったのですが、いきなり、16分もある防犯カメラの映像が証拠品として提出され、ひたすら無言で見ている時間だったのできつかったです。何人かの傍聴人はその間に出ていってしまいました。傍聴は出入り自由なので、自分の関心のあるところだけ傍聴する人もいるようです。

その後、被告に対する証言と尋問?が始まりました。ここから、イメージしていた裁判そのものが始まった感じです。覚醒剤使用に関する裁判ですが、被告は覚醒剤の使用は全面的に認めておりました。今回の裁判の争点は、被告が主張する「逮捕時に警察官から暴行された」という点だったようです。

「任意の尿検査を断ったところ、警察官にすごい力で腕を抑えらられ肋骨にヒビが入った」という被告人の主張が真実なのか、弁護人、検察それぞれの尋問から事実関係を明らかにしているようでした。

細かい質問が多く、何度も同じような質問もたくさん。検察側からは「誘導では?」と思われるような質問もあり、途中から被告が相当イライラしている様子でした。聞く観点やスタンスは違うものの、取材で事実関係や感情を紐解いていくときと、プロセス自体は近かったですね。

印象的だったのは、尋問中に「事実関係を明確にするために◯◯の証拠品を確認してもよろしいでしょうか」と裁判官に伺い、了承が出たら、その証拠を証人に確認してもらうところ。証拠によっては、「その証拠を必要として明らかにしたいことは、この心理で必要ないのでは」といって取り下げになっていました。「何を明らかにしたいのか」「そのために必要となりうるのか」ということを瞬時に判断する力が求められる仕事だと感じました。

2時間程の公判でしたが、次の予定があり1時間45分ほどで退出。貴重な体験でした。

●感想

大学1年生のときに、とある授業で裁判を傍聴する課題があったんですけど、行ったことにして空想でレポートを書いたとき以来、「いつか行かなきゃ」と引っかかり続けていたので、自分の中でなにかの気持ちに決着がつきました。公判の中で、事実を明らかにする技術も、その上で「染まらずに判断する」技術も、アナザーライフのインタビューで求めるスキルと原理的には近いので、法律家から学ぶことは大きいと感じました。

また、罪を犯した人の実像を掴むためにも良い経験になると感じました。