別人制度レポート/ 三味線職人の登竜門「箸づくり」体験
ドットライフ渡邉です。
6月の別人レポートです。
今回私が体験したのは、三味線製作の技術で作る箸づくり!
この体験を選んだ理由は3つ。
①何かモノづくりをしたかった
②一つのことを極めている人に話を聞きたかった
③和に触れたい
体験先は『向山楽器店』(https://www.mukouyama.jp/pro.html)をやられている、三味線職人の向山正成さん。
箸作りには「木を切り、削り、丹念に磨く」という三味線を作るための技術が詰まっているということで、三味線職人になる人は練習として箸などを作っているそうです。
(なんと1か月ほど、箸を削って木の感覚を掴むのだそう)
とはいえ、三味線職人になろうという若者が減ってしまったことと、三味線づくりの際にでる端材を活用するという背景で、このような体験教室を開いていると仰います。
体験にくる方の多くが、外国人が修学旅行の学生だそうで、特に外国観光客の方々を見ているとそのお国柄が箸づくりに如実に現れて面白いようです。(最後まで妥協しないor早々に完成とする 等)
お話を聞きながら早速箸づくりに入っていきます!
①まずは木の素材を選ぶ。
三味線には花林、紫檀、紅木といった木が使用されているそうなのですが、紅木は現在ほぼ手に入らないのだそう。私は今回「パープルハート材」という使っていくうちに紫色に変わっていく木に決めました!(写真右手前)
既に箸の形に切ってありました。
②とにかくやすりで削る!!!!!
やすりの粗さが120、240、400と三段階用意されており、120→240→400の順で削っていきました。数字が上がるほど、目が細かくなっていて、削ると表面がツルツルしていきます。
(左から120→240→400)
講師の向山さんにお手本を見せてもらいました。(手の動きが速すぎてぶれる…)
1本は向山さんに削っていただき、それを見本にもう1本自分で削ってみます。
120のやすりで自分の希望する細さや形になるまで、ガッツリ削っていくのですが、これがなかなか大変。
希望する形まで削れたら、240、400と目の細かいやすりで、表面がつるつるになるように削っていきます。
トータル1.5hくらいずっと削る作業。
なんだか表面がつるつるになっているのか良く分からなくなってきます。
飽き性で諦めの早い私は途中で、「もういいかな」と思う瞬間が何度もあったのですが、向山さんに「もう少し削ってみて」「削りが甘い」というフィードバックをいただきながら、やりとげることができました。職人さんってやっぱりすごい。
こんなにツルツルになりました!分かります?この光の反射。
③竹でこすって、表面を寝かせる
整ったら仕上げに、竹で表面をこすります。
これによって毛羽立った表面を寝かせてさらにツルツルにするそうです。
箸通しをこすり合わせても同じような効果があるそうですよ。
④仕上げ
最後に油などを含ませた皮で磨いて仕上げて完成。
もう、完全に箸です。感動。
完成する頃には既に開始から2時間がたっていました。
あの三味線のきれいな表面は、職人さんの丁寧なお仕事によってできていたんだなあ、と尊敬の念でいっぱいでした。
(お店に並んでいた三味線たち。)
体験中、向山さんについてお話を伺いました。向山さんが職人になったきっかけから、奥様との出会い、なんでも鑑定団で鑑定されたお話まで、たくさんの興味深いお話をお聞かせくださいました。
もともとお父様が三味線の職人で、跡を継いで職人になられた向山さん。
小さい頃からお店で多くの時間を過ごし、身近に三味線づくりがあったため、三味線職人になることは自然の流れだったと仰います。
しかし職人になった後、お父様と喧嘩された一度だけ、家を飛び出して別のお仕事(士業)に方針転換したことがあるそうです。しかし3年ほどたったころ壁にぶつかり、やはり自分にとっては三味線づくりだと、そこからは三味線づくり一筋。
“磨いて仕上げる”という東京三味線の伝統を、今もなお手作業で守り続けていらっしゃいます。
今三味線職人さんは皮はり出来る人が全国で300名、全部作れる人になると100名しかいないのだそうです。1つのことに向き合い、丁寧に仕事をする尊さを学び、感じることができた別人制度でした!
【後日談】
その後、家に帰って箸を使い、スポンジで洗ったところ表面がケバケバに…
教えてもらった通り、箸同士をこすり合わせてなんとかツルツルに戻しました。。涙
▼今回体験に伺った『向山楽器店』
https://www.mukouyama.jp/index.html
一人からでも体験受け付けてくださるので、ぜひ行ってみてください!