dotlife menu-image

1200人以上の人生を取材してきたメディアの編集長が考える、人の魅力を引き出す質問力

1200人以上の人生を取材してきたメディアの編集長が考える、人の魅力を引き出す質問力

人生経験のシェアリングサービス、another life.編集長を務める粟村千愛(あわむら ちさと)。年間約100人以上にインタビューを行っています。そんな粟村に、インタビュアーとして大切にしていること、粟村が考えるインタビューライターの要素を聞きました。

人生経験のシェアリングサービス、another life.編集長を務める粟村千愛(あわむら ちさと)。年間約100人以上にインタビューを行っています。そんな粟村に、インタビュアーとして大切にしていること、粟村が考えるインタビューライターの要素を聞きました。

プロフィール****************************
粟村千愛    another life.編集長
筑波大学人文・文化学類人文学部卒業後、福島民友新聞社の記者として2年半勤務。事件・事故報道や市町村、大学等の取材を担当。2018年2月から、株式会社ドットライフ編集部員。詳しい経歴、プロフィールはこちら   

**********************************

人生の追体験を通し、人生のヒントを

ーanother life.はリリース以来、年齢、性別、職業を問わず1,200人以上のライフストーリーを掲載してきました。改めて、another life.とはどのようなサービスなのでしょうか。

another life.は、自分の物語を生きる人を応援するための、プラットフォームです。現在提供しているサービスは、と「ライフストーリー」と「another life.profile」の2つです。ライフストーリーは、その人の人生を一本のストーリーにしてお伝えするものです。掲載されることで、自分の物語を改めて認識し、さらにその続きを紡いでいきやすくなればと思っています。読者にとっては、誰かの人生を追体験することで、やりたいことが見つかったり、自分の人生のヒントが得られたりする場になることを目指しています。

10代から80代まで、さまざまな人が登場していますが、最終的には全ての人が、自分の人生を物語として持てるといいなという想いがあります。物語にすることで、今まで点と点だったものが線になってつながり、自分でも気づかなかったものが見つかると思うんです。そのことが、自分の人生への肯定感に繋がるのではないかとも考えています。また、物語として思いを伝えることで、一緒に働く仲間が見つかったり、二次露出に繋がったりと、新たな取り組みが広がる機会に繋がることもあります。

そして、another life.に掲載されている方々の多くは、有名人ではなく、一般の方です。まだ世にでていなくても、強い想いや魅力を持つ人は沢山います。その人だからこそ語れることが絶対にあるはず。人生は一人ひとり全く違っていて、経験も物事の解釈の仕方も違います。誰かの人生が、人生を欲している一人に深く届けば、という想いでつくっていますね。

another life.profileは、オンラインでの名刺のように、自分の活動をまとめ、広く伝えられるサービスです。                    

インタビューライティングを行う上で心がけていること        

「事実」ではなく、「解釈」を重視する
ーanother life.に掲載されるストーリーは、約5,000字のボリュームがありながら、7割の読者が最後まで読み通しています。人の魅力を伝えるために、工夫していることは何でしょう。

経歴を時系列で羅列するのではなくて、その人が何を見て、どう感じたかにフォーカスしています。他人の経歴書を最後まで読むのは辛いですよね。だから私達が提供するのは、感情の追体験なんです。その人が何を見て、どう感じたか。それを追体験することで、人の魅力がより伝わります。

そのため、インタビューする際は「事実」ではなく、「解釈」を重視するようにしていますね。何を体験したかではなくて、その人がその体験から何を得て、どう変わっていったかが大事。それが、その人だけの魅力になります。

それから、具体的なシーンが見えるまで聞くことも、意識しています。例えば「劇の発表会で主役になり、嬉しかった」というエピソードであれば、「スポットライトを浴びてステージの中央に立ち、練習の成果を出し切った時、笑顔で拍手をしてくれるお客さん一人ひとりの顔が見えた」というところまで聞けると、その達成感を一緒に味わえて、本人の体験に寄り添いやすくなると考えます。そのため、本人が見ているシーンまで表現するよう心がけています。


同じ景色を見るために、言葉を因数分解する
ー感情を追体験できるように、丁寧にインタビューをしていくからこそ、あらゆる人の魅力が伝わるんですね。他にも気をつけていることはありますか?  

一つは、相手と同じ目線に立つことです。対面で面接のように喋ろうとすると、「なんでそんなこと聞くんだろう」と不信感を持たれてしまいます。そうではなくて、隣に座って「あなたと同じものを見たいんです」と認識を合わせるようにして話すと、より良いインタビューになると思います。そういう関係性を築くことは、ずっと意識していますね。

同じ目線に立つために大切なのは、相手と同じものが見えたと思えるまで、聞くことです。自分の思い込みや世界の基準に照らし合わせるのではなくて、「その人がどう思ったか」が分かるまで聞いていくんです。

そして、手触り感を持てるまで、聞いた言葉を細分化するようにしています。手触り感を持てるというのは、聞き手が五感で感じられるということです。例えばスポットライトを浴びている情景を聞いているときに、自分もライトに照らされて熱い気持ちになるようなときがある。そういう、聞き手自身が追体験している感覚ですね。

その感覚を得るために、言葉の概念を細かく因数分解していくんです。一つの言葉の裏側には、さまざまな概念が存在しています。例えば「かっこいい」という言葉を、自分と相手が同じ概念で喋っているとは限りません。「私は私のバイアスで世界を見ている」という事実は、意識していますね。自分のフィルターを外さないと、その人が本当に言いたいことは分かりません。だから、特に抽象的な言葉や、その人がこだわりを持っていそうな言葉は、「それはこういう意味ですか?」と例を出して細分化していくようにしています。

体系的な学びと実践を通し、インタビューライターの活躍の場を創出

ー昨年にはインタビュー、人の魅力を引き出し、共感を生むコンテンツの作り方を教える第1期インタビューライター養成講座を開催、独学でインタビューを行ってきた方や、インタビューをより深く学びたいと思う方々が集まりました。反響も大きかったようですね。

インターネットやSNSの発達で、社会には自己表現できるメディアがどんどん増えています。一方で、自分発信ではない情報の重要性も増しています。another life.インタビューライター養成講座では、ライターの中でも特に「人に話を聞いて、伝わりやすく表現する」ことができる方を増やしたいという思いで開催しました。第1期受講者には、定員の10名の方にご参加頂きました。受講者の方の中には、another life.やライフスタイルメディア、企業のウェブサイトの取材・執筆等をご依頼している方もいます。

頂いた声で嬉しかったのは「ライターとしてやっていくか悩んでいたけれど、背中を押してもらえた」という声ですね。他には、インタビューの面白さを感じられた、受講者同士で繋がりができたことから、気づきを得られたという声が多かったです。特に受講者同士でライフストーリーのインタビューをし合うワークショップした時、人の話を聞いてモチベーションが上がったり、逆に聞いてもらうことで発見があった、と言っていただけました。

another life.のインタビューライター講座は、座学でノウハウを学ぶというよりは、実践とフィードバックを交え、サポートのある状態でインタビューの現場を体験する場にしたいと思っています。前回の受講者を見ていると、講座初回のインタビューでは聞き方に自信が無かった方も、終盤では何をどこまで聞けばいいのかが分かったことにより、質問する言葉に力がこもるのをすごく感じられました。

another life.は、人の話を同じ「型」で聞き、その人の魅力を発信している媒体です。ですから、私達が良いと考える一つの「型」はお伝えできますし、そこで体得した「型」は、他の案件にも活かせています。ただ、私達のやり方が唯一無二だと言うつもりはないんです。受講者と対話する中でより良いものが生まれる可能性もあるし、その発見を大事にできたらと思っています。良いインタビュー・ライティングとは何なのか、一緒に考える仲間になれたらいいですね。

インタビューの面白さ、その意味を伝えたい

ー今年2月からは第2期インタビューライター養成講座が開講します。特にどんな方におすすめですか。

今回は特に、今後インタビューを専門としたライターとして活動していきたい方を募集しています。我流で学んできて自信がない方や、インタビューをやりたいけれどどのように案件を受注すればいいか分からないという方に、おすすめしたいです。ライターとしての実績がなくても、ブログやnoteなど、何かご自分で書いたものがあって、書いてみたいという意志があれば、申し込み頂ければと思います。

受講後は、それぞれのレベル感は考慮しつつ、実際に弊社から案件を依頼させて頂く予定です。また、弊社の案件に限らず、インタビューできる機会の創出も考えています。ご自身の興味を活かしながら、インタビューライターとして活躍頂きたいですね。

ーインタビューライターになりたい方にとっては、実践力を付けられて、実践する機会も得られる場になるんですね。粟村さんがこの講座で、皆さんに伝えたいことは何でしょう。

やっぱり、私はインタビューがすごく好きで。その楽しさや、インタビューすることの意味を伝えられたらと思っています。私にとってインタビューの面白さは、普通なら出会う機会のなかった人のお話が聞けて、しかもその人がとても大事にしているものを聞かせて頂けるところにあります。それを受け取って伝えられるのが、インタビューライターの面白さであり、責任を感じるところですね。人と触れ合う楽しさ、そして「素敵だ」「応援したい」と思える人について、発信できる喜び。その2つを感じて頂きたいです。

個人が発信できる時代に、人が介在する意味って何だろうと考えることがあります。1時間半もかけて話をしてくれたことに対して、話を聞いた者として意味を持って返さなければと思います。話したことがちゃんと形になって、自分でも気づけなかった新しい気づきがあった。そう言ってもらえると、その一つ一つが嬉しい。介在した意味を返せたと思うときが嬉しいですね。

人が介在しないと出てこない想いや考えがある。だから、インタビューはこの先もきっとなくならないでしょう。せっかく受講して頂くなら、受講生同士の交流も含め、人と出会う楽しさ、人の内面を聞ける喜びなど、インタビューの醍醐味を感じて頂けたらと思っています。